河上肇ってこんな人だったんだ!

 きょうは大学院の授業。綱澤満昭さんによる河上肇と「無我苑」とのかかわりを論じた文章をみんなで検討した。河上肇の思想形成過程を共産主義を信じるに至るまでの進歩の過程ととらえるならば、「無我苑」時代のことは「奇行」として処理されてしまうのであろうが、人物の思想を「進歩の過程」としてだけではなく、なんらかの「連なりのある傾向」として見て取ろうと意識すれば、この時期の河上肇の考え方は彼の「根底を貫くもの」がよく顕れているととらえることも可能ではないかと思った。綱澤さんの文章からはいつも「間違って」評価されてきた人の「実像」をできるだけ拾いあげようとする「熱情と優しさ」が感じられる。だから好きだ。論理展開に少々の飛躍や無理があっても読ませてしまう力があると思う。綱澤さんの手引きにより、わたしも河上肇ともずっとつき合っていきたいと思うようになった。ちょっと大げさに言うならば、きょうはわたしの人生にとっての大事な一日になったような気がする。