京都府議選における地盤の世襲

3月9日の『京都新聞』朝刊より引用。

記事タイトル:陣容 '07統一地方選⑤ 京都府議選

> 綾部市
>
> 四方源太郎 33 会社員  自新
> 山口 昭雄 70 政党役員 共新
> 佐々木幹夫 57 団体役員 無新
>
> 三期目の自民現職が引退し、市長の長男が後継議席を目指す。
> この動きに反発して元市会議長の無所属新人が立候補を表明し、
> 保守層の動向が注目される。


いよいよ統一地方選挙が目前に迫ってきました。最近は現実政治にはあまり関心がなく、歴史や思想の方に関心を集中している私ですが、この記事には目を奪われました。四方立候補予定者、佐々木立候補予定者とも、知人だからです。


いや、本当に驚きました。国政・地方政治を問わず、二世議員は珍しくありません。それは、先代の議員が引退表明してから、地盤を息子やら娘婿やらに継承するというものがほとんどです。しかし、都道府県議員選挙の単独市選挙区で、在職中の市長の親族がその市の選挙区で出馬するというのは、かなりきわどいことではないでしょうか? 言うまでもなく、市長には市政を中心とする市域内のもろもろの情報が一元的に集中するからです。


それにしても、四方源太郎氏が自らのブログを「みんなが参加する、参加できるまちに」と題しているのは、本当に本人がそう思っているなら、イタすぎます。そういう「まち」を作りたいのであれば、市長をつとめる父親とは縁を切るぐらいの覚悟が必要だと思うのですが、当のご本人はブログのなかで「一部の人」しか享受できない地縁・血縁をフル動員していることを、平然と綴っておられます。源太郎氏にとっての「みんな」とは一体だれなんでしょうか? おそらく、あまり深く考えることなく、自分の近しいお仲間、自分が気に入った人を指して「みんな」と言っているのでしょうね。いやはや。


■四方源太郎氏のブログ
http://gentaro.blog.ocn.ne.jp/ayabe/


まだ33歳の源太郎氏ですが、こんなデビューをすると、かりに当選したとしても、一生、「十字架」を背負うことになるでしょう。かりに「自分たちは出馬準備の段階から親子の間でいっさいの情報やら金銭やら交際やらのやりとりを絶っていたのだ」と主張したとしても、不作為を証明することはきわめて困難です。もし四方八州男綾部市長が長男・源太郎氏にいっさい助言・援助をしなかったとしても、親子・親族のなかで蓄積されている集合的な知識が世襲候補にとって有利に働くことは間違いありません。


綾部市外に居住する「野次馬」(不謹慎な言い方かもしれませんが)の私としては、この選挙区は、本当に注目に値します。おそらく史上まれに見る興味深い選挙区だと思います。いい機会です。地方政治における世襲の問題をこれから考えていきたいと思います。

p.s.
鹿児島県の、いちき串木野市区で現職のいちき串木野市長の弟さんが立候補を予定されていることがわかりました。教えてくださった方に感謝いたします。こちらは、自民党公認の現職県議に対抗して、無所属で立候補されるので、政党の対立構図は綾部市区とは違いますが、こちらも行方を見守りたいと思います。

南日本新聞 373news.com 2006年11月28日
http://373news.com/_senkyo/index.php?ym=200611&storyid=1316

朝日新聞 asahi.com 2007年2月25日
http://mytown.asahi.com/kagoshima/news.php?k_id=47000270702250001

p.p.s.
この日記のリンク元を見ると、staroffice.city.ayabe.kyoto.jp ドメインのサイトから来ている方が最も多いのですが、さて、どこにどんなリンクが張られているのでしょうか? ご存じの方、ぜひ、教えてください。