はじめてのキケン

 朝から研究院に行ってほぼ一日研究院で過ごす。きのうが参議院議員選挙の投票日だった。海外に一時的に在住しているために仕方がなかったこととはいえ、有権者になって初の「棄権」を経験した。まあ、この年齢まで一度も「棄権」したことがなかったというのもかなり珍しいことだとは思うが。

【読書】
小熊英二・上野陽子『<癒し>のナショナリズム』を読む。
上野さんには「よくそこまで入り込んで調べました。おつかれさま」と言いたいです。
小熊さんが書かれた章は(意図的なんでしょうが)評論家的コメントばかりであまり面白くなかったです。まあ、「おまけ」はこのぐらいでいいのかもしれませんが。

【らくがき】
 自分が投票していない選挙というのは少し冷静に見ることができるものである。先ほど比例区の選管確定の結果が出たので、感じたことを簡単にメモしておく。

1) 比例区で得票1位の民主党と2位の自民党の差がはっきりと出た。
  民主党  21,137,458 票  得票率 37.79 %
  自民党  16,797,687 票  得票率 30.03 %

 おおざっぱに言えば民主党が「4割政党」、自民党が「3割政党」になったとさえ言える。僅差なら「民主党も強いなあ」ぐらいですむ話だが、政党としての自民党を支持した人が3分の1さえも割り込んだというのは、もはや揺るがぬ大自民党というイメージは消えたと言ってもいいだろう。少なくとも選挙後しばらくの間の日本人の意識のなかでは。

2) 公明党自民党の単なる「補完勢力」ではなくなった。
  自民党  16,797,687 票  得票率 30.03 %
  公明党  8,621,265 票  得票率 15.41 % ← 自民党票の 51.3%

 与党内での得票を見ると公明党票が自民党票の半分を超えたことは注目に値する。もはや自民+公明連立政権にとって、公明党自民党を「補完」する勢力ではなく、3分の1を超えた有力な構成部分となったと見てよい。自民党内にはこれでは自民党主導の政権運営ができなくなるために、危機意識が高まり、連立に疑問符を付ける勢力も現れるのではないか。

3) 与野党の票は「大きく」逆転した。
  自民+公明     25,418,952 票
  民主+共産+社民  28,490,697 票 ← 自民+公明票の112%

 野党3党の票が与党2党の票を大きく上回った。これも僅差なら野党側も「野党は別に政権協定を結んでいるわけでもないから」と逃げられるが、1割以上の差があるというのは大きい。自公連立で政権を維持する正統性はかなり揺らいでいると言えよう。
 共産党議席「大激減」については、衆議院議員選挙で小選挙区制を継続していれば当然生じる結果であり、むしろ比例区で4議席確保したことは、票を減らしながらも踏みとどまったとみることができる。社民党もしかり。両党を加えて約700万票の「護憲」票を投じた有権者がいることは無視し得ない。この両党は、次の衆議院選挙では党の運命をかけた大勝負に出ないと、ほんとうに消滅する(ミニ政党と化す)危機だと思われるが、いまの指導部に大勝負に出る度胸があるかどうか。。。

 以上は公開の「はてな日記」に書くけれども、あくまでも私的なメモです。こういうことを言っても、実際の政治はどう動くかわかったものではありません。正確に予測できるような顔をしてコメントをすることを職業にしている人の大変さは相当なものだろうと思います(と、逃げる)。